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クリストファー・ロビンのお話

「くまのプーさん」に登場するクリストファー・ロビンは、原作者ミルンの息子と同じ名前です。
私があえて「クリストファー・ロビンはミルンの息子がモデルになっています」と書かないのは、クリストファーの著書によると「プーさん」の中に出てくるクリストファー・ロビンの人物像はミルンの想像の人物であるからです。

「プーさん」の原作を読んだことがある人は、ミルンのことをどう思っていますか?
「きっと息子の様子をすごくよく見ていて、いつも一緒に遊んでいたんだろうなあ。」と思った人は多いのではないかと思います。
しかし、クリストファーの著書を見ると、事実は全く違ったということがわかります。

クリストファーは自伝的著書を出しています。
「熊のプーさんと魔法の森」(原題:The Enchanted Places)
「クリストファー・ロビンの本屋」(原題:The Path Through the Trees)

クリストファーはこれらの本を、50歳を過ぎてから書きました。
そして自らの気持ち、人生をとても客観的に綴っています。
おそらくそうすることができるようになるのに50年という長い月日を要したのでしょう。

著書によると、ミルン夫妻(特に母親)は女の子がほしかったそうで、勝手に女の子が生まれると決めつけ、ローズメアリという名前まで用意していたのです。
生まれてきた子供が男の子だとわかって、夫妻はあわててクリストファー・ロビンという名前を考えたのでした。
ディズニーの「くまのプーさん」に出てくるクリストファーは少年らしい格好をしていますが、原作の挿絵のクリストファーはまるで女の子のような格好をしています。
これは女の子がほしかった母親が、女の子のような服を着せ、女の子のような髪型にカットさせていたからです。

クリストファー・ロビン(ディズニー) クリストファー・ロビン(原作) クリストファー・ロビン

(左から)ディズニーのクリストファー、原作の挿絵のクリストファー、実際のクリストファー

裕福だったミルン家には多くの召使いがおり、またクリストファーには乳母があてがわれていました。
クリストファーの養育はほとんどこの乳母がおこない、食事さえも両親と一緒にはしていなかったそうです。
母親はたまに息子と遊び、息子の面倒がみきれなくなるとすぐに乳母に返していました。
父親はさらに息子と接する時間は少なく、家族でどこかにでかけるとか寝る前の数分間の会話ぐらいでしかコミュニケーションがありませんでした。
クリストファーは「父は自分の夢を書いた」と書いています。

やがて「クリストファー・ロビン」という名前が一人歩きを始めます。
「プーさん」はもちろんのこと、ミルンはいろんなところに「クリストファー・ロビン」を登場させました。
実際はミルンの幼少時代のことや、ミルンの架空の話であるものも「クリストファー・ロビン」がしたことになりました。
でも「これは僕のこと。」「これは僕のことじゃない。」とわかっているのはクリストファーだけです。
実際私も彼の著書を読むまでは、そんなことは想像もしませんでした。
ほとんどの読者が「クリストファー・ロビンってこんな子なんだ。
かわいい( ´艸`)」と思ったでしょう。
そして実物のクリストファーに会ったなら、「これがあのクリストファー・ロビンかあ。」と感激して握手を求めたり、写真を撮ったりしたでしょう。
たとえ本人は「あれはボクじゃない。」と思っていたとしても。
こうしてクリストファーは自分の名前に生涯悩まされ続けたのです。

子供のころからガリガリで、戦時中も軍隊に志願したものの身体検査ではねられたことのあるクリストファーは、1996年重症筋無力症により75歳でその生涯を閉じました。

  

=プロフィール=

ニックネーム:loveteddy-disney
自己紹介:
テディベアが大好きで、10年以上前からコツコツとコレクションしています。
東京ディズニーシーで大人気のダッフィーを初めて知ったのもテディベアからでした。
以降テディベアだけでなく、ぬいぐるみもコレクションしています。

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